様々な分野の第一線で活躍する一流のプロたち。その仕事には、どのような試行錯誤があり、それをどう乗り越えているのだろうか。その道をリードするプロフェッショナルたちの言葉から、仕事の醍醐味、奥深さを感じ取って欲しい。

プロフェッショナルが語る私の仕事道

北陸という土地に教えられ、育てられた二年間
業界を変えることが、最大の恩返し

富山転勤を告げられ、、まず地図を開いた

 佐賀県に本社をかまえ、ゲストハウス・ウエディングなどを展開するアイ・ケイ・ケイ株式会社。その総支配人として全国7人の支配人を統括しているのが菊池旭貢さんだ。大学を卒業後、新卒で入社し、26歳で鳥栖の「ベルアミー」支配人に就任。27歳の時、富山転勤を告げられる。 「正直言ってびっくりしましたが、二つ返事で了承しました。九州以外での初めての拠点を、27歳のこの若僧に託す。その思いにこたえたいと思ったからです」

 菊池さん自身も九州を出たことはなかった。そのためまずしたことは、富山県がどこにあるのかを地図で確認することだった。平成17年2月、妻と一人娘を連れ、菊池さんは富山の地を踏む。

北陸のウエディング業界の式場本位な姿勢に疑問を抱く

 九州の会社が北陸に進出した理由は、特に複雑ではない。ふさわしい土地があり、進出に値すると判断したからだ。

菊池さんは赴任後、競合を見て回る。 「お客様の立場に本当に立っているのかな、というのが一番の印象でした。例えば接客スタイルや価格。お客様のニーズを引き出せているのか? その価格なら式の質ももっと高められるんじゃないか? 結婚式はそういうものだと思って、お客様も何もおっしゃらないようなんですね。でも、それではいけない。人生には三つのセレモーがあると私たちは考えています。誕生、結婚、そして死。この中でご本人の希望をもっとも反映できるのが結婚です。結婚式をあげるお客様は、もっとわがままでいいんです」

  菊池さんの目には、ウエディング業界のぬるま湯的体質が、お客様のためになっていないのではないかと映った。
  ララシャンスのモットーは『お客様感動のために』。感動を提供できる社員の教育・育成に力をいれ、どんなクレームにも目をそむけず真摯に対応することで、今に至ってきた。そのやり方で北陸一になれると確信した。しかし、現実は戸惑うことも多かった。

「まず人の気質ですね。中途採用の説明会でのことです。私は九州と同じように、みなさんの前で熱く語ったんですよ。九州なら反応がある。ここではシーンとしている。でも、アンケートではすごくたくさんの前向きな感想が返ってくるんです。そうか。ここは表面上では反応がわかりにくいけど、実は内面では非常に熱い、そういう気質なんだと知りました」

また、北陸の気質をこうも語る。 「富山県は高校進学率、持ち家率、貯蓄率が日本一なんですよね。みんなよく働きます。真面目で辛抱強い。そして理解力がある。お客様もそう。私どもの提案にも丁寧に耳を傾けて下さいます」

菊池さんはお客様の優しさに感動したことが何度もある。式場本意な業界のやり方にも、文句を言わない理由が理解できた。だがやはりそれではいけないのだ。
「基本的には九州と同じ方法でいくことにしました。価格以上のサービスを提供する。ささいなクレームにも即座に応対し、二度と発生しないようにする。結婚式の主役はあくまでお客様だからです」

しかし細かい工夫は積み重ねた。入社説明会では反応を引き出しやすいよう、まず映像で見せるようにした。冬でも式をあげやすいような価格・時間帯に変更した。また九州と違い、北陸では新郎・新婦だけでなく、ご両親の関わり方が深い。ご両親・親戚・縁者が見て誇らしく思うような演出・接客を心がけた。

この先異動があるかもしれないが骨をうずめる覚悟でいる

 平成18年9月、待望の北陸第2号店「ララシャンス太陽の丘」が金沢にオープンし、菊池さんは総支配人に昇格した。今は既存店の管理を統括し、全国を飛び回る忙しい毎日を送っている。

家族とともに富山にきて、ここで第二子も生まれました。責任者として新拠点を立ち上げたのも初めての経験。人生で最大の転機だったと思っています。中途半端な気持ちで来たわけではありません。ウエディング業界を変え、北陸一・日本一になる、それが私にできる恩返しです」

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